建物:倉庫 / エリア:山梨
| 鉄骨建方
『初となるPCa案件実証』
人員不足を逆手に、データドリブンによる
手順見直しで“一発OK”


◆大成建設株式会社
東京支店
現場担当 冨田 真 様
建築総本部 生産技術イノベーション部
生産技術ソリューション推進室
室長 田中 吉史 様【オンライン参加】
◆株式会社中山測量
職長 佐藤 伊織 様
地方の職人不足を解消できるか、新技術に期待感
– 「楽直」を導入するきっかけや、背景について教えてください
冨田様: 山梨エリアには、そもそも墨出し職人が非常に少なく、千葉の中山測量さんに今回お願いして来て頂いたのですが、
それでも2班で計画していた所、1班しか人員が確保できなかった背景があります。
そんな中、ちょうど本社から「楽直」の紹介があり、少ない人員でも従来以上の生産性が出る可能性を感じ、導入は“即決”でした。
ただ、PCaの柱は初めての取組みで、ちゃんと精度良く建てられるか不安はありましたが、事前のテストで解決しました。
結果的に、人員不足(1班)の体制でも問題無く、工期通りに進められ、「楽直」は“大成功”でした。
PCaでも十分適用できる、休憩と準備の時間は事前にスケジューリング
– 今回初のPCa材での取組でしたが、「楽直」を使用してみた感想と、課題があれば教えてください
佐藤様: まずブーメランミラーですが、PCaは鉄骨と異なり、マグネットで取付ける事ができないため、今回ゴムバンドで固定する方法を採用しました。
取付ける手間はありますが、一度取付けてしまえば、器械を中央1点で据えた所から、
全ての柱を一度に管理できるため、トータルでは従来法と手間の違いを感じる事はありませんでした。
精度も確認しましたが、問題ありませんでした。
鳶さんの休憩の間に、高所作業車で回りながら全ての柱にブーメランミラーを取付けて準備する事ができたので、
待たせる事なく、休憩後すぐに歪み直しを行う事ができました。
鉄骨建方は2班でしたが、上手くタイミングがズレた事もあり、計測1班の体制でも問題無く運用できました。
ブーメランミラーの個数は、各班6個ずつの計12個で、ちょうど良かったです。
課題としては、自分たちの休憩を取るタイミングを、鳶さんと事前にスケジューリングする事が必要だと感じました。
鳶さんは、在来の時と何も変わらずに作業でき、クレームもゼロでしたので、気持ち的にも「楽」に作業できました。
データの“後ろ盾”でスパン調整を先回り、圧倒的な作業効率
– どの様に計測人員の不足を乗り越えたか、具体的に教えてください
佐藤様: 従来法では、一度に計測できる範囲が限定されるため、各柱の倒れを調整してから最後にスパンを調整する手順でしたが、
「楽直」では画面に各柱の倒れが一度に表示されるので、柱間のスパンの良し悪しの関係が、あらかじめ把握できます。
そのため、先に矢入れを指示し、スパン調整を先回りすることで、歪み直しに要する時間が、圧倒的に短縮されました。
従来法ですと、スパン調整した後に、再度、倒れを調整し直すという手戻りが何度もありましたが、
「楽直」だと“一発”で決める事ができます。
「これならいける」と指示できたのは、手元で柱4本の倒れ/スパンのデータが見られる“後ろ盾”があったからです。

デジタル化によって両者の働き方、品質管理に変化
– 「楽直」によるデジタル化のメリットについて教えてください
冨田様: 「楽直」により計測をデジタル化した事で、現場に張り付かなくても、
遠隔で品質確認・指示出しがタイムリーに行える様になり、管理する側も自由度が増したと感じました。
佐藤さんが、「楽直」の計測データをタイムリーに「LINE WORKS」で報告してくれたため、すぐに指示を出せる環境が整いました。
現場の端から事務所まで200m近くあるため、データでやり取りでき、お互い「楽」に作業を進める事ができました。
手書きで生々しいものを好む方もいると思いますが、見やすいデータ形式でタイムリーにやり取りしている状況の方が、
品質は担保できていると考えます。
また、監理者への報告についても、従来は雛形のテンプレートを作成する所から始まりますが、
「楽直」は書式が既に決まっているので、雛形を作る時間も削減され、雛形に書き入れる時間も削減されます。
データをそのまま提出できる事は、間違い防止にもなり、品質面でもメリットが大きいと思います。
大体どこの現場でも、最初の始まりは「じゃあテンプレート作ってそのデータをちょうだい」または「その紙ちょうだい」ですからね。
中低層から高層へ「楽直」の展開につなげる
– 最後に、今後の目標や展望について教えてください
田中様: 「楽直」を通じて現場のデジタル化が進み、現地に張り付かなくてもリアルタイムに現場管理できる事や、
品質記録をデジタルデータでそのまま保管できるメリットは大きいと思います。
今回、PCa案件でも実証できたため、今後は、中低層だけでなく、高層の案件にも「楽直」が適用できるか、
引き続き検証していきたいと考えています。